お焚き上げ(相反する健康)

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どちらかと言うとフラットなマイナートランキライザー(舌の上で溶かせるタイプ)の思い出せない用法用量を舐めながら歩きながら思い出そうとしてるうち、山手線の内回りか外回りかもはっきりしない、けどそっか、品川から巣鴨は真ん中くらいだしいいや。乗った。そう、で、席の隅に老婆がいた。ピンク色のフワフワな帽子を被ってて、いい人生を歩んできそうな人。老婆の横の窓の向こうからは某美少女萌え萌え二次元アイドルの広告看板が見えて、一時PCエロゲーの開発に携わった業務の苛烈さで精神を崩し、以降美少女恐怖症と名付け定期的に起こる強迫観念症に近い動悸はさらさら溶けた薬のお陰で助かった。まぁ、伝えたいことは薬のラムネを薄めた感じの味の話じゃ無い。臭いだ。 美少女萌え萌え二次元アイドルに背後から見つめられた老婆からは臭いが滲みてた。ものが干からびた、と言うよりは、土をひっくり返した時にちょっと湿った臭いがした感じに近い。どうあれ不快であることに変わりはない。「これが死臭ってやつか?」なんてラリった馬鹿に思われるとしったらきっと老婆も怒髪天
 死にたいと思ったことならある。ただ死ぬのが怖いからマイナーなトランキライザーに寄り添ってる。死にたくは無い。今だってカーペンターズのSINGを聴きながらバックでコーラスしてる子供たちの声に涙を流してる。子供の頃に帰りたい。胎児よ胎児よ母の子宮の中で躍ってたい。じゃあ老婆は? 老婆もこう見えて、きっと死を間近にして考えあぐねて、曽祖父母の子宮に、この場合は老婆のお母さんの子宮に帰りたいって思ってるのか。どうあれなんと言うか、お互い生きてるんだなって不思議な感じがした。
 巣鴨についた。全く同じ美少女萌え萌え二次元アイドル広告看板があった。オマエは死ね。